クレジットカードの審査では、申込者の信用情報や属性情報を確認します。各カード会社は審査の基準を明らかにしていませんが、審査のポイントや審査に落ちる理由のなかには、ある程度共通している点があります。
そこで今回は、クレジットカード会社の主な審査のポイントや、審査に落ちる主な理由、通過するポイントについて解説します。
そもそもクレジットカードに審査が必要な理由とは?
クレジットカードを申し込む際に審査が必要になるのは、クレジットカード決済が、カード会社と利用者の信頼のもとで成り立っている仕組みだからです。
クレジットカードは、利用者が店舗でカード決済した代金を、カード会社が一旦立て替えて支払うという仕組みになっています。カード会社が立て替えた代金は、利用者が期日に支払います。
もし利用者が代金を支払えない場合、カード会社は大きな損失を被ります。そのためカード会社は、事前に申込者の返済能力などを確認する目的で、審査を行います。
クレジットカードの申し込み~利用開始までの流れをおさらい
クレジットカードの審査は、自身が希望するクレジットカード会社に申し込みをして、必要書類を提出した後に行われます。カード会社は必要書類や申込内容をもとに審査を行い、審査に通ればカードが手元に届くという流れです。
そのほかに審査のある代表的な金融商品としてはカードローンがありますが、カードローンは主にお金を借りるためのサービスです。
クレジットカードはショッピング機能に加え、カードローンのようなキャッシング機能も付いている場合があります。ただし元からキャッシング機能が付いていないクレジットカードを使用している場合や、あるいはキャッシング枠があっても利用額が設定されていない場合、キャッシング機能は利用できません。
関連リンク:カードローンとクレジットカードの違いとは?選び方のポイントや審査の違いがあるのかも解説
カードを選ぶ
まずは、利用したいクレジットカード会社を選びます。入会申込書は、銀行や小売店などに設置されているほか、クレジットカード会社に問い合わせて取り寄せることも可能です。また、発行したいカード会社のWebサイトから申し込むこともできますし、契約後もカードの受取が不要で、アプリを使ってデジタル発行できるカードもあります。
それぞれのクレジットカードの特徴やサービス内容を理解して、自身に合ったものを選びましょう。
お申し込み・必要書類を提出
カード会社を選んだら、申込書に必要事項を記入し、必要書類を添付して提出します。Webサイトやアプリから申し込む場合は必要情報を入力し、必要書類は画像ファイルをアップロードして提出します。
審査の際、カード会社は申込書や必要書類の内容も参考にするため、正確に記入または入力するようにしてください。
審査結果を待つ
必要な書類を提出すると、カード会社は申込者の審査に入ります。一般的に、カード会社はまず申込書に記入した項目を確認し、申込者の本人確認、申し込み意思の確認をします。また、場合によっては、在籍確認が行われることもあります。
在籍確認とは、申し込み時に記入した勤務先に、実際に勤務しているかを確認する手続きのことで、返済能力を確認するうえで重要な工程です。
次にカード会社は、自社と申込者の過去の取引状況を確認します。さらに信用情報機関を利用して自社以外の利用状況も確認し、審査の可否を判断します。
クレジットカードが届く
審査に通過すると、カード会社からクレジットカードが届きます。ただしアプリを使ってクレジットカードを発行する場合、バーチャルカードというアプリ上に表示されるカードのみで、一般的な現物のカードが発行されない場合もあります。
届いたクレジットカードにサイン欄がある場合は、すぐにカード名義人自身がサインをしてください。
クレジットカードの主な審査ポイントは?
クレジットカードで主に審査されるポイントは、信用情報と申込者の属性情報の2つです。ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
信用情報
信用情報とは、過去あるいは現在利用しているクレジットカードやカードローン、その他ローンなどの契約や申し込みに関する客観的な情報を登録したものです。
信用情報は、CIC(クレジットインフォメーションセンター)、JICC(日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)といった信用情報機関で厳重に管理されており、クレジットカード会社は手数料を支払って、信用情報を開示してもらうことができます。
信用情報の一例としては、新規申込状況や契約の内容、支払状況、借入金額や件数、過去の支払いや返済に関するトラブルなどがあります。
申込者本人の属性情報
属性情報とは、申込者本人の年収や勤務先、家族構成などの情報のことで、本人の返済能力を推測するための情報となります。
【主な属性情報】
- 勤務先の社名・企業規模
- 勤続年数
- 役職
- 年収
- 家族構成
- 配偶者の有無
- 賃貸か持ち家か
- 雇用形態
(正社員・非正規社員・パート・アルバイト・個人事業主など)
クレジットカードの審査で必要なもの・書類
クレジットカードの審査では、申し込み時、審査中、審査後それぞれ必要なものや、書類があります。スムーズに進めるために、あらかじめ用意しておきましょう。
1:申し込み時
申し込み時に必要なもの・書類は主に以下の通りです。
- 本人確認書類
- 引き落とし口座の金融機関情報
- 銀行印(必要になる場合あり)
- 収入証明書(必要になる場合あり)
クレジットカードの利用代金を引き落とすための金融機関情報を記入、あるいは入力する際に通帳やキャッシュカードを手元に用意しておくと便利です。カード会社によっては引き落とし口座の届出の手続きのために銀行印が必要になる場合があります。また、クレジットカードのキャッシング枠が大きいときは、収入証明書の提出を求められる場合があります。
必要書類は申し込むクレジットカード会社によっても異なるので、カード会社のWebサイトなどで確認するように心がけましょう。
関連リンク:本人確認の必要書類(本人確認書類)のご提出
2:審査中
審査中に必要になるものは以下の通りです。
- 連絡が取れる自身の電話番号(携帯電話など)
- 在籍確認ができる勤務先電話番号
審査中、申込内容に関する確認などでカード会社から連絡があるかもしれません。カード会社と連絡が取れる電話番号を用意しておきましょう。また、在籍確認するための電話番号の準備も必要です。
3:審査後
クレジットカードは原則、本人宛の書留郵便で送付され、本人受取が必要です。郵送物が未着にならないよう、自身でカードを受け取れる準備しておきましょう。
本人確認書類について
本人確認書類は多くの場合、写真付きの書類は1点、写真なし書類の場合は2点以上用意する必要があります。クレジットカード会社によって用意すべき本人確認書類に若干差があるため、あらかじめ確認しておきましょう。
【主な写真付き書類】
- 運転免許証や運転経歴証明書
- マイナンバーカード
- 在留カード
- 特別永住者証明書
【主な写真なし書類】
- 各種健康保険証
- 国民年金手帳
- 母子健康手帳
- 印鑑登録証明書
- 住民票の写し
- 住民票記載事項証明書
住民の方にマイナンバーを知らせる紙製のカード、いわゆる「通知カード」は本人確認書類にはならないため、注意が必要です。また、有効期限のある公的証明書は、クレジットカード会社が提示又は送付を受ける日において有効なものに限られます。また、有効期限のない公的証明書は、原則として、事業者が提示又は送付を受ける日の前6ヶ月以内に作成されたものに限られます。カード会社によっても取り扱いが違う可能性もあるので確認しておきましょう。
本人確認書類に記載されている住所と、申し込み時に記入あるいは入力した住所が異なる場合は、次のような補完書類を求められることがあります。
【主な補完書類の例】
- 国税又は地方税の領収証書又は納税証明書
- 社会保険料の領収証書
- 共料金の領収証書
クレジットカードの審査のタイミング・期間は?
クレジットカードの審査は、申し込み時に必要書類を提出した後に行われます。審査にかかる時間は、カード会社やクレジットカードの種類によって異なりますが、早いもので数分から数時間、長くかかるもので1~2週間です。
クレジットカードの更新でも審査が必要?
クレジットカードは、更新時にも審査が行われます。クレジットカードには有効期限があり、基本的には自動的に更新されて新しい期間のものが発行されます。更新時、特に手続きなども必要ありません。
しかし、クレジットカードやカードローンの支払いが滞納している、過去滞納をしていたなど信用情報に問題があると更新できない場合があります。スムーズに更新できるよう、普段からクレジットカード代金の支払いスケジュールや、カードローンの滞納等には注意を払うように心がけてください。
クレジットカードの審査の難易度は?
クレジットカードの審査の難易度は、カード会社によって異なります。ただし、各カード会社が審査基準を明らかにすることはありません。
通常、クレジットカードの審査難易度は、一般カード、ゴールドカード、プラチナカードと、カードのステータスが上がるごとに高くなる傾向があります。また、年会費無料よりも年会費がかかるカードや申込条件が厳しいカードのほうが、審査の難易度は高いともいわれます。
クレジットカードの審査に落ちる主な理由とは?
クレジットカードの審査に落ちても、カード会社は理由を教えてくれません。しかし、審査の傾向は、各カード会社である程度共通しています。ここでは一般的にクレジットカードの審査に落ちると思われる主な理由について紹介します。
信用情報に異動情報が登録されている
クレジットカード会社が審査で申込者の信用情報を確認した際、異動情報が登録されていると審査に落ちる可能性が高いでしょう。異動情報とは、クレジットカードやカードローンの長期延滞や代位弁済、債務整理などの情報の総称です。
同時に複数のカードを申し込んでいる
同時に複数のカードに申し込んでいると、クレジットカードの利用残高やキャッシング残高が増える可能性があり、審査に落ちる原因となります。
また、同時に複数のカードに申し込むと、カード会社から「何か審査に通りにくい事情があるのではないか?」「返済能力に問題があるのではないか?」と捉えられる場合がありますので注意しましょう。
なお、クレジットカードの申込状況も信用情報として登録されるため、カード会社が信用情報機関に照会をかければ各社で確認が可能です。
「返済が困難」と判断されている
クレジットカードは、利用者の支払代金を一旦カード会社が立て替えるという性質上、申込者の返済能力の確認が必要です。
申込者の属性情報や、クレジットカード、カードローンなどの利用状況から、カード会社が返済困難と判断した場合、審査に落ちる可能性があります。
勤務先の在籍確認ができなかった
カード会社からの在籍確認の電話がつながらないと、審査に落ちる可能性があります。在籍確認は必ず本人が応対する必要はありませんが、カード会社が在籍確認をしても申告した勤務先で働いていることが確認できないと審査に落ちてしまいます。
申し込み情報に誤りがある
住所や電話番号など申込情報に誤りがあることも、審査に落ちる一因となります。また必要な書類がそろっていない場合も、審査に落ちる可能性があります。
クレジットカード審査通過のポイントはある?
クレジットカード会社の審査基準は各社異なりますが、共通している部分もあります。ここではクレジットカードの審査に通過するための、一般的なポイントを紹介します。
正しい属性情報を記載する
クレジットカードを申し込む際、属性情報は正しく記入あるいは入力を心がけましょう。審査がスムーズに進めば、カード発行までの時間もそれだけ早まります。
借入限度額を適切に設定する
クレジットカードを申し込む際に、クレジットカードのキャッシング枠(借入限度額)を少なくする、あるいはゼロにすると、借り過ぎによるリスクが低いと判断される可能性があります。
クレジットカードを申し込むときにキャッシング枠の金額を指定できるため、使用する予定がない方はなるべく低くするか、ゼロで申し込むとよいでしょう。
クレジットカードの審査に関するよくあるQ&A
ここでは、クレジットカードの審査でよくある質問をまとめました。これからクレジットカードを作ろうと考えている方は参考にしてください。
1:クレジットカードの審査結果の履歴って残るの?
クレジットカードに申し込んだ履歴は信用情報機関に半年間残りますが、審査の結果は記録されません。
2:審査時間はどこのクレジットカードも同じ?
審査にかかる時間は、カード会社やクレジットカードの種類によって異なります。また、ゴールドカードやプラチナカードといったカードは、審査基準が異なることもあり、審査に時間にかかる場合があります。
また、アコムであれば最短即日でクレジットカードの発行ができるため、急ぎのご希望にも対応できる場合があります(※)。
(※)お申込時間や審査によりご希望に添えない場合がございます。
3:落ちたクレジットカードに再度申し込みは可能?
落ちたクレジットカードに再度申し込むことは可能です。ただし、審査に落ちた原因はカードローンの借入額が多い、年収や勤続年数といった属性情報が基準を満たしていないなど、早急な改善が難しい問題が多いかもしれません。
クレジットカード会社が審査に落ちた理由を教えてくれることはありませんが、少なくとも再度申し込むときは、事前に本記事の「クレジットカードの審査に落ちる主な理由」で紹介した内容を解消しておくことをおすすめします。
4:クレジットカードの審査に通過するために必要な年収はいくら?
年収は、クレジットカードの審査基準の1つに過ぎません。年収が高くても、借入額が多ければ、返済能力が低いと判断される可能性もあります。
クレジットカードの審査は、信用情報や属性情報、他のクレジットカードやカードローンの借入額などから総合的におこなわれるもので、一概に年収いくらなら審査に通過できるといった基準はありません。
5:学生や専業主婦でもクレジットカードの審査に通過できる?
多くのクレジットカードは学生や専業主婦でも審査に通過できます。ただし学生の場合、申込要件を「高校生を除く」としているカード会社がほとんどです。一方、専業主婦は多くの場合、配偶者に収入があることを要件としています。
また、学生や主婦でも、アルバイトやパートなどで安定した収入あれば、審査に通過できる可能性があります。
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まとめ
カード会社は、クレジットカード利用者の支払い代金を一旦立て替えるため、確実にカード利用代金を支払ってもらえるよう、申込者の返済能力を審査で確認しなければなりません。
クレジットカードで審査する内容は、主に申込者の信用情報や属性情報の2つです。カード会社は、具体的なクレジットカードの審査基準を明らかにしていませんが、クレジットカードの審査で落ちる理由や通過するポイントには共通点もあります。これからクレジットカードを作りたいと考えている方は、まずクレジットカードの一般的な審査基準を理解して、少しでも審査に落ちる可能性を減らしてから申し込むようにしましょう。
執筆者:金子賢司
CFP 東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信中。